野菜栽培に対する基本理念

今から100年とちょっと前、私たちの野菜作りは、自家消費用の栽培から始まりました。家族が毎日食べるものだからこそ、高冷地という気候の特徴と野菜の生命力を活用して農薬の使用をできるだけ控え、野菜のもつ美味しさを最大に引き出す栽培を続けてきました。

この栽培方法は、生産規模を追い求めれば、手間ばかりがかかるので厳しいです。しかし、やまぐち農園は、お客様にも家族のように安心して美味しい野菜を食べていただきたいと思っています。生産規模を追わず、このような丁寧な野菜作りが持続できる範囲で栽培を続けていきたいという思いから、以下の4か条を「安心で美味しい持続的な野菜栽培」の基本理念としています。

基本理念

① 堆肥をたっぷり使った土を野菜作りの基本にする。

② 旬(適期・適地適作)を大切にし、野菜自体に備わる
抵抗力や美味しさを最大に引き出す。

③ 病害虫の発生を抑制し、農薬使用を減らすために、

輪作体系(多品目栽培)を採用する。

④ ①~③の取り組み等により、自然がもつ病害虫防除の力を
最大限活用し、低農薬に努める。

① 「土作り」について

当農園は、畑に使う土を自分たちで手作りしています。

兄が経営するやまぐち牧場で飼育する乳牛約60頭(2020年8月現在)からでる牛の糞を、自前の堆肥施設で発酵・熟成させ、独自の有機質肥料(完熟堆肥)を手作りしています。これを畑に投入することで、肥沃で、野菜がしっかりと根を張る土壌環境にすることができ、野菜自体が持っている力や美味しさを最大に引き出します。

土作りについてさらに詳しい説明は、こちらのページで紹介しています。

② 「旬」について

旬を大切にするとは、土地の環境・季節を見極めて、その作物が最も生育しやすい季節に育てるという考えです。野菜の持つ性質に合った環境で栽培することで、病害虫に対しても抵抗力が高くなり、低農薬で美味しい野菜を作りやすくなると考えています。

また、標高1100mの高冷地は、標高の低いところに比べて、夏場に特に発生しやすい病害虫が比較的少ない地域です。低農薬での野菜栽培に適した土地です。

こうした考え方で、高冷地に合った野菜の種類を選定し、露地を主体に栽培しています。結果的に、野菜本来の力を最大限引き出す栽培が可能となり、農薬への依存度は低くなっています。

③ 「輪作」について

輪作とは、一つの畑において、作物の種類を毎期変えて、一定のサイクルで栽培する栽培方法のことです。輪作と対になる概念は、「連作」です。連作は、一つの畑で同じ作物を繰り返し栽培する方法です。

野菜の種類にもよるのですべてに当てはまるものではありませんが、連作を繰り返すと、その野菜を好む病害虫が土に住み着いてしまい、野菜の生育に悪影響がでてきます。これを連作障害といいます。

連作障害を防ぐためには、土を殺菌・消毒しなければなりません。「土壌消毒」といわれるものです。土壌消毒にはいくつも方法がありますが、最も一般的に行われているのが「土壌消毒剤」による消毒です(*1)。しかし、土壌消毒剤には強い薬剤が使われることが多く、家族が毎日食べる野菜と考えると、ある程度手間がかかったとしても、避けるのが一番です。

やまぐち農園は、このような考えから輪作体系を取っています。このため、ある畑である野菜を栽培すると、次にその野菜を栽培するのは、早くても5年後というルールで栽培しています。この農法を50年以上続けており、これまで土壌消毒は一切行っていません。

*1:土壌消毒剤や連作障害について詳しく知りたい方は、農協が発行しているこちらの記事もご覧ください。

https://www.jacom.or.jp/nouyaku/rensai/2017/06/170630-33093.php

④ 「低農薬」の実践について

自然の力を活用した土作りを採用し、野菜がもつ生命力を最大に引き出す栽培方法をとっていますので、農薬は必要最小限の使用にとどめています。

作物の特性や天候等の影響で必要な場合は、使用基準を順守して、予防という観点から早期に対処することで、農薬の使用量を減らすよう工夫をしています。たとえば、キャベツについていえば、一般的な栽培方法に比べて、使用量は50%以下程度に抑えられていると思います。

農薬の使用についてさらに詳しい説明は、こちらのページで紹介しています。

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